せっかく有名中に受かったのに、学校を退学せざる得なくなったお子さんというのは、毎年複数発生します。
具体的には、どういうお子さんにそんなことが起こっているのでしょうか?
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(ケース1)
A君は2人きょうだいの長男。
お父さんは有名私大を出て都内の企業で働いています。お母さんは、生命保険見直しショップの管理職です。
A君は、個別指導を転々としたあと、6年の夏から家庭教師を利用することにしました。
家庭教師によると、例えば算数は、大半のお子さんが身につけているはずの基本的な解法知識がなく、「カン」と驚異的なスピードの「当てはめ」力だけが頼りのお子さんだったようです。
イチから中学受験算数の解法知識を身につけさせる時間的な余裕もなかったようで、解き方を矯正するのは最小限にとどめました。
そして無事、算国の2科目受験で都内の中堅私立中に合格しました。
ところが入学してから1年たっても学業は振るいません。
まず、受験勉強の期間中に、学校を休みながら算数と国語の受験勉強に注力していたため、理科と社会の基本的な知識がありませんでした。合格後も入学までのんびりしていたため、勉強をしておらず、中学進学後程なくして社会と理科はついていけなくなりました。
また、A君が通っていた公立中では、宿題の未提出にも寛容だったのでほとんど提出していませんでしたが、中堅私立中となるとそうもいきません。大学まで付いているエレベーター式中高一貫校と違い、大学合格実績が学校の評判、ひいては存続に関わるからです。
学校側からは保護者も呼び出され、善後策が話し合われるようになりましたが、けっきょくA君に改善は見られず、中3の冬に教頭先生から「高校への進級は諦めてください」と言われてしまいました。
(ケース2)
B君の家庭は、B君の妹と両親の4人家族。お父さんは大手IT企業のエンジニア、お母さんは専業主婦です。B君の母方の祖父が一代でベンチャーを大きくした資産家で、おじいちゃんの持つ土地と建物に住んでいました。
B君もA君と同様、いわゆる中学受験のための標準的な解き方というものを知らず、カンと当てはめだけで大手塾の一番上のクラスに在籍していました。学校はというと、仲が悪い子達が多く担任との折り合いも悪かったのでほとんど行っていません。
そして塾の教材の管理は、専業主婦のお母さんが全て代わりにやっていました。
第一志望は落ちたのの、神奈川では有数の、東大に何人も合格者を出している学校に受かったB君。
A君と同様、部活にも入って楽しい学生生活を送っていましたが、提出物は出さず、定期考査の勉強もしないため学業はさっぱり。
慌ててオンラインの家庭教師を付けましたが、指導中に鉄道模型で遊び始めたり、しきりに座っている椅子の高さを気にしたり、画面越しの家庭教師の机の消しゴムの粒や電源コードの絡みが気になってしまい、指導が成立しません。
けっきょく、B君も担任に呼び出されるようになり、面談の際の担任のB君への口調も苛烈なものになっていきました。
B君は、趣味のNゲージに関するブログを持っていましたが、次第に記事の内容が「今日は、〇〇線の列車を組み立てました!」といった楽しげなものから「そろそろ”あいつ(=担任)の攻撃”から我が身を守る時が来たようだ」といった不穏な内容に変化していきました。
たまたまそれをネットで読んだ同級生が心配して担任へ報告。保護者と学校の知るところとなり、B君は休学を勧められ、引きこもりに。復学することなく除籍処分となりました。
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家庭教師によると、二人に共通するのは、「挨拶ができない」「提出物を提出しない」「人から教われない、教わったことを応用できない」という対人的な問題と、「保護者がそれをずっと放置していた」ことによる、「基本的な生活力の無さ」だったようです。
子ども学習発達能力というのは難しいもので、「小学校前半はテストでほとんど0点だったのに、後半にどんどん伸びていった」というお子さんもいれば、「小中高通じてずっと100点満点の30点」という、Learning Disorderな子もいます。また、司法試験や医師国家試験を軽く突破したのに、職場でのハラスメントや仕事での小さな挫折で自ら命を絶ってしまうお子さんもいます。
そもそもなぜ、勉強をするかというと、人生の来たる試練に備え、それを乗り切るための知恵を捻出するために、学ぶこと、学び続けることを身につけなくてはならないはず。
「とりあえず、中学受験さえ突破すれば」の発想では、その後に大きな代償を払うことになるというのを覚えておいた方が良い気がします。
