中学受験教育ビジネスの世界では、受験の合否を左右する科目として「算数」ばかり取り上げられがちですが、実はすべての科目の成長を左右するのは「国語の力をいかにつけるか」だったりします。
「塾歴」とも言われる大手中学受験塾チェーンのサピックスですが、四谷大塚準拠の早稲田アカデミーと違い、テキストはすべてオリジナル。特に国語は、「教える側が読んで感銘を受け」「子どもたちにも読ませたい」と思ったものを、著作権処理料を払ってイチから作り上げたもののようです(以前、作成責任者から聞きました。その方は独立されていますが)。
一方の四谷大塚のテキストですが、可も無く不可も無くといったところでしょうか。多少の難を言えば「この設問は何のためにあるの?」と思わせる設問が少なからずあり、また題材の選定にも多少困っているふしがあります。
では、サピックスのテキストと四谷大塚のテキストの大きな差は何でしょうか?
これは、サピックスの国語のテキスト(Bテキスト)に、「文章の大意を把握させるための書き込み式ワークのページがあること」です。
これがあるのとないのとでは、大違い。
本ではなくスマホを常に手に持つ世代にとって、「文章の要旨」を把握するのは、大人が思っているよりはるかに難儀なのです。
そして、この内容把握のためのワークと各設問が有機的にリンクしているのがサピックスのテキストの白眉なところです。
もちろん、サピックスのテキストにも弱点はあります。内容把握のワークがついているBテキストは、文章がかなり長く、国語の力が十分でないお子さんは使いこなせません。一定の国語力のないお子さんはテキストの良さを十分に享受できないのです。
文章のボリュームがもう少し軽いAテキストの方は、記述の設問がかなり少なく、結局、サピックスで国語力をつけるには「AテキストとBテキストをいかに両立できるか」にかかっているのですが、これはかなりの学習時間(指導時間)と本人の根気、教える側のスキルとマネジメント力が要求されます。
では、どうすべきか?
サピックスのテキストのように内容理解のワークがついている問題集が存在します。
「出る順シリーズ・読解86」(旺文社)です。
5年生でそこそこ力のある子〜6年生がオススメ対象のテキストですが、入試問題の文章を2ページの量に改題して内容理解のためのワークもつけた良書です。
また、内容理解のワークはついていないものの、問題文のボリュームを圧縮し、設問設計においてサピックスのBテキストとAテキストの良いとこ取りをしたのが、「読解の応用」「読解の完成」(いずれも啓明館 著)です。
そこそこ力のあるお子さんは、
・「読解の応用」(啓明館)
・「出る順・読解86」(旺文社)
に両冊並行して取り組み、
この2冊で苦労するようなお子さんは、
・「ロジカル国語」(くもん)
・「読解の基礎」(啓明館)
にまず取り組んでみましょう。
なお、サピックスでは、表現力を鍛えるためのボキャビル トレーニング(「こんな場面の表現は、どんな言葉が良い?」みたいなワーク)がすごく充実していますが、他の塾のお子さんであれば、
・「書く力をつける」(樋口裕一 著・学研)
などに取り組んでも良いかもしれません。ただし、この本は読解問題のテキストと並行してやりましょう。
