【中学受験の勉強法】ある人気国語講師の“指導マジック”の落とし穴

以前、富裕層向けの人気個別指導塾で指導していた頃、こんなことがありました。

国語専任のM先生は、弁舌も爽やかでとてもわかりやすい指導をお子さん達にしていました。指導風景を脇で見学する保護者の皆さんにも好評です。

しかし、子ども達の成績はなかなか上がりません。

一方、目立ちませんが淡々と指導する女性のS先生の方がすぐに成績が上がっていました。月謝がかなり高い個別指導塾のため、結果が出ると保護者の皆さんはすぐにお子さんを卒業させていきました。

たしかに保護者の皆さんは、個別指導のため、M先生とS先生のパフォーマンスの違いなど知るよしもありません。

結果として、M先生は長く在籍し続けて、なおかつたくさん稼ぎ、一方で、すぐに指導の結果を出すS先生は、だんだんこの高級個別指導塾での指導機会を減らしていかれました。S先生は現在、都内で自分の国語塾を主宰され人気を博しています。

これはどういうことか?

M先生とS先生の指導の違いにはこんな点がありました。

M先生は、しっかり予習はしてくるるものの、自分が理解したことを一方的に生徒に伝える授業でした。喋っている時のM先生は「自分に酔っている」感じすらしました。拝見していると、集団授業より指導の「一方通行性」が強く前面に出ていました。

一方、S先生は、生徒への質問を常に織り交ぜ、生徒にも目の前で記述させ、それに対してアドバイスしさらに良い記述に修正させるという、「ソクラテスメソッド+手書きによる勉強の実践」のスタイルを用いた指導をしていました。S先生の授業よりも周囲からは地味に見えます。が、子どもの五感の発達を促す授業でした。

保護者が講師の指導を見学する風景は、どの個別指導塾でも見かけますが、講師の指導の良し悪しは、見る側にもその力量を問われるのだと思います。